がくの洞の雨乞い

がくのほらのあまごい


伝承地 瀬戸市鳥原町
 瀬戸の北東には、町を見おろすように、三国山とそれに連なる山々があります。その山すそに、四季おりおりのすばらしい自然美を見せてくれる岩屋堂があります。夏にはここにあるプールで、子どもたちが泳ぎ回り、その歓声があたりのセミの鳴き声をかき消すほどです。
 このプールの上を山あいの渓谷にそって行くと、地なりを思わせる大きな音におどろかされます。鳥原川の清流を、岩がせきとめて作った滝があり、清流が滝から落ちる音です。
 このあたりには、いくつもの滝があって、「岩屋七滝」と呼ばれています。その岩屋七滝の一つが、「めおとたき」と呼ばれています。そして、この滝の滝つぼのことを「がくの洞(ほら)」と呼んでいます。
 この洞の主は、「龍神(りゅうじん)さま」で、雨を降らせる神様だということです。
 鳥原川から、田や畑の水をひいている品野の人たちは、日照りが続くと代表者を立て、その人と岩屋堂の入口にある浄源寺の住職とで、雨乞いをするそうです。
 雨乞いのしかたは、代表者と住職とが、水で身体を清めたうえ、幣束(へいそく)を持って、滝の近くの洞穴の龍神さまに祈ります。祈りがすむと、滝のところへ行き、願いごとをとなえながら、手にした幣束を、がくの洞へ投げ込みます。そのとく、滝つぼの水が渦を巻きながら幣束を巻き込んでしまえば、願いどおり必ず雨が降るといわれています。