ほたるの里作りは、もともと市民ボランティアが実践する里山保全活動のモデル事業としてスタートした。平成9年(1997)、「市民による里山の保線と活用」の研究を、2005年日本国際博覧会協会から瀬戸市の市民団体「水野地域まちづくり協議会」が委嘱され、ホタルの復活に取り組み始めたのがスタート。その翌年の平成10年(1998)10月に整備が始まり、希少生物の調査や水路の整備に取り掛かった。もともとあった棚田を生かしたジグザグの水路も酸素補給用の水車もすべてボランティアの手作り。下流に水質浄化用のセラミック多孔体を設置し、ポンプで水を再び上流に運んでリサイクルする水路が平成11年(1999)の3月に完成。ホタルの幼虫と、その餌となるカワニナ(貝の一種)を放流したところ、その年の6月にホタルの飛翔が初めて確認された。平成12年(2000)にはホタルが飛び交う様子が確認され、一般公開もされるようになった。その後もバリアフリー化、新しい棚田の造成など、地元企業の協力もあり、その規模は次第に大きくなり、テレビや新聞などでも大きく取り上げられたことから、毎年の一般開放には多くの人が訪れるようになった。
平成12年4月、「定光寺ほたるの里の会」がまちづくり協議会から独立して発足した。その後も、地域の枠を超えた市民を対象に、ほたるの里やその隣の稲込の郷で、ホタルの幼虫の放流やホタルの鑑賞会、里山体験、稲作体験など、年間を通じてさまざまなイベントを行ってきた。イベントがなくても、週末になるとボランティア数名が集まり、ほたるの里の整備など、自然に囲まれての作業を楽しんでいる。