瀬戸市湯之根町68
敷地約4,000㎡。1978年(昭和53年)6月開始。陶芸を志す若者達が陶房として利用。大半は県立窯業高等技術専門学校の卒業生。在校生の出身地は愛知、岐阜はもちろん、北海道から沖縄まで全国にわたる。ここは、もともとは大家の加藤正敏氏が経営するタイル工場だった。その跡に自分の窯や作業場を求めて集まった自然発生的な集団が「やきもの長屋」。20に仕切られた陶房で20才前後から40才代までの男女約30人が集まり、22基の窯がある。多彩な顔ぶれで、焼き物と言っても伝統工芸から前衛のオブジェまで、また染付あり、楽茶碗あり、さまざまである。瀬戸には伝統のある陶磁器産地にありがちな新しい試みに対する有形、無形のプレッシャーがあまりなく、有田焼、備前焼などの他の作風を取り入れて、自由に創作できる。また、よそ者を受け入れ、互いの陶房を尊重し合い、刺激し合う、自由な雰囲気がある。作品を買おうとするとき、作者が誰なのかにも関心がある。その点、ここ長屋に来れば大勢の作者とその作品が目の前で結び付く。同敷地内には入居者たちの作品を扱う「GALLERY 湯之根68番地」や「ギャラリーくれい」があり、作者とユーザーが出会う場となった。(現在、両ギャラリーは閉鎖している。)