曽野の礎石

そののそせき


瀬戸市曽野町
 瀬戸市曽野町の水田の中に「作石(つくりいし)」と呼ばれてきた花崗岩の巨石がある。この四角形の巨石は、縦180センチ、横190センチ、厚さ47センチで、上面の中央部には径57センチ、深さ6センチの浅い円形の孔が穿ってある。三味線胴形の張り出しもあり、瀬戸市史編纂監修者からは白鳳期の古代寺院の塔の心柱の礎石であるという見解が出されている。近くに「穴の宮」の地名はあるが寺院を示す遺構・遺物は全く見られず、そうした伝承もない。
 しかし、周辺には花崗岩の切り出し場もあり、この場所の近くで作られた礎石が残されたという見解もある。近くの住民の中に「作石(さくいし)」姓が残る。いずれにせよ、寺院の礎石であるとすれば、千余年前の寺院建築の一端を示すものとなり、瀬戸の古代を考える上で貴重な資料である。
(参考文献 『瀬戸の文化財』)