瀬戸では昔から火の神として秋葉大権現、土の神として山の神が祭られている。山の神については、古記録についてもあまり見られていないが、やきものの土を恵んでいただく有難い神として崇められるという極めて単純な発想からであろう。山の神の祭りは11月中旬頃、その日は職人衆は半日働いて午後から休むとか、或いは前日に仕事をやり越して、祭り当日は丸1日休むといったように、公認で仕事を休み、山の神詣出をする小型のレジャーを山行きと呼ぶようになった。山の神の祭に詣でなくても、慰安旅行をいつの間にか山行きと呼ぶようになり、近年では宿泊付の大型旅行が山行きと呼ばれている。山の神は山の中腹や、草花が生い繁った山の頂に、ひっそりと祭られていた。祭りの前日には、見習い職人達が自分の作った作品をそっと神様の前にお供えする。すると翌日親方の職人や窯主が審査して、見習いから職人に抜擢する人材登用の場でもあった。昔の山行きは信仰レジャーと技術上達の祈りをこめた祭礼であった。