桑下城址

くわしたじょうあと


所在地 瀬戸市上品野町
桑下城は旧中馬街道「城前」バス停の水野川を挟んだ対岸「桑下島」の丘陵地「城根」にある平山城で、「尾張志」には「城構えは東西30間・南北42間、永井民部少輔の居城なりし由」と伝え、石垣や井戸跡を残している。「永井民部は松平家重・その子家次に仕え、後に織田家に属してその位牌は祥雲寺に残る」と載せている。
桑下城跡は平成16年度(1次)、同19年度(2次)に国道363号線改良工事に伴う事前調査が行われた。愛知県埋蔵文化センターなどによる瀬戸市域における最初の発掘調査であった。道路予定地の限られた調査区ではあったが、本丸部分の掘立柱建物や基礎、土塁や井戸、本丸を囲む東西の薬研堀と北の箱堀構造、そして出土遺物として和鏡などの金属製品や什器などの木製品、多くの陶磁器製品が検出した。当時の土木技術が判明したのみならず、現在の城跡は在地領主である長江(永井)氏時代のものでなく、今川氏が関与した改築された時代のものという知見が示された。