陶磁器陳列館

とうじきちんれつかん


瀬戸市蔵所町
 明治16(1883)年に設立された「瀬戸陶器館(舜陶館)」であったが、時勢の進運につれてこの建物も狭隘となった。そこで、東隣りの瀬戸警察署が陶本町に新築移転した跡の空き地に大正3(1928)年1月に起工、同年6月30日に新館が竣工した。これが戦後まで活動した「陶磁器陳列館」である。木造2階建(各階50坪)、総工費1万500円での洋館であった。新館では各種陶磁器の陳列と即売に当てられ、階下に参考品を陳列し、階上に貴賓室や会議室に使用した。そのため「参考館」と呼ばれるようになった。そして階下の一室に瀬戸陶磁工商同業組合事務所を置き、これらの建造物を管理した。同業組合の前身は「瀬戸陶磁工組」(明治18年9月設立)であるが略して「磁工組(じこうぐみ)」と呼ばれていた。
(『瀬戸ところどころ今昔物語』)
 昭和32年、ここにあった市役所が新庁舎に移転した際、陳列館の建物は池田丸ヨ製陶株式会社に一括払い下げられ、解体され南仲切町に移築復元された。規模は縮小されたが、当時のモダンな洋風工法を残している。現在では瀬戸市新世紀工芸館の展示棟にその面影を見ることができる。