菱野団地古窯跡群

ひしのだんちこようせきぐん


瀬戸市原山台・八幡台・萩山台・幡野町
旧瀬戸市街地と旧幡山村の間には標高120m前後の菱野丘陵が広がる。当地方特有の悪地地形で樹木の生長も思わしくない第3紀丘陵地である。この地域内県有林174haを開発して人口3万人規模の県営菱野団地を建設する計画が昭和40年代に生まれた。計画地域内には19地点で古窯跡が確認されており、瀬戸市教職員考土サークルによる事前発掘調査が昭和42年4月に始まった。発掘調査は2年間にまたがって実施され、新たに発見された窯跡も含め、井林1~8号窯、長根1の1・1の2・2~9号窯、今林1~3号窯、八幡4・6号窯、水無瀬東古窯が調査された。

菱野団地古窯跡群一覧表
古 窯 名 瀬戸系 行基焼  時 代  窯 体       出 土 品
井林 1  ○       12世紀 ほぼ残存(長さ11m) 碗・皿・四耳壺・水瓶
井林 2      ○   13世紀 分炎柱前後8m残存 碗・皿・仏飯器
井林 3      ○   13世紀 滅失        碗・皿
井林 4  ○       12世紀 分炎柱前後3m残存 碗・皿・四耳壺
井林 5  ○       13世紀 滅失        碗・皿・四耳壺・水注
井林 6  ○       13世紀 滅失        碗・皿・四耳壺
井林 7      ○   13~14C 燃焼室残、木筋痕  碗・皿・こね鉢・入子
井林 8      ○   13~14C 滅失        碗・皿・こね鉢・陶弾
長根1-1  ○   ○   12世紀 焼成室上半分流失  碗・皿・瓶子・合子
長根1-2     ○ 13世紀 工事で滅失     碗・皿
長根 2      ○   13世紀 天井除いて完存   碗・皿・こね鉢・陶弾
長根 3      ○   13世紀 自然侵食で流失   碗・皿・こね鉢
長根 4  ○       13世紀 ほぼ完存/長さ9.5m 碗・皿多し
長根 5  ○       12世紀 炊口より7.2m残存  碗・皿・四耳壺
長根 6  ○       12世紀 5号と同規模・併存 上手碗・皿・四耳壺
長根 7      ○   13世紀 分炎柱前後5m床残 碗・皿・陶弾
長根 8      ○   13世紀 滅失        碗・皿
長根 9      ○   13世紀 滅失、物原のみ   碗・皿・こね鉢
今林 1  ○       12世紀 炊口より5m残・溝 大アラコ様式碗・皿他
今林 2  ○       12世紀 (団地外)窯残   広久手様式碗・皿
今林 3      ○   13世紀 滅失        碗・皿
八幡 4      ○   13世紀 滅失        碗・皿・陶弾
八幡 6      ○   13世紀 焚口より長7m残  碗・皿・陶弾
水無瀬東  ○       12~13C 長さ9m残、カマド 碗・皿・片口碗・盤
註;「菱野団地古窯阯群」より作成、時代は「瀬戸市内遺跡詳細分布調査報告書」使用
「瀬戸系」は上質胎土、仕上げが丁寧薄作り、「行基焼」は粗胎土、粗略作り製品